SEO内製化が失敗する5つの原因とインハウスSEOを成功させる4ステップ

「SEO内製化を進めたいが、社内に記事を書ける人がいない…」
「AIを使えば社内で回せそうだが、何から手を付ければいいかわからない…」
監修しているのは、SEOメディアの運用代行と内製化の支援をしている佐藤誠一です。
先に結論です。
インハウスSEOとも呼ばれるSEO内製化は、記事を書ける人を採用することからではなく、社内にある一次情報を集めることから始めます。
立ち上げたばかりのメディアはドメインパワーが弱く被リンクも付いていないので、検索で勝負できるのは自社にしかない情報だけになります。
ドメインパワーとは、サイト全体がGoogleからどれだけ評価されているかを表す指標です。
とはいえ、社内の誰に何を聞けばいいのかは見えにくいですよね?

この記事でわかること

  • 内製化と外注で費用が逆転する本数
  • 自社が内製化に向いているかの判断の目安
  • 工程を社内とAIと外部の会社に分ける決め方
  • 人を増やさずに内製化する方法
  • 外注ライター10名をゼロにした実例

読み終えると、自社が内製化に向いているかと、最初に社内で何をするかがはっきりします。
内製化を判断する材料として、参考にどうぞ。
※この記事を監修している佐藤誠一は、SEOメディア運用代行、ならびにAIを活用したSEOメディア内製化支援をしています。
SEOキャリアは12年です。
2024年に10名いた外注ライターをゼロにして、いまはAIを活用して1人で記事制作を回しています。

SEO内製化と外注の違い

SEO内製化とは、検索からの集客に必要な工程を外部に発注せず、社内の担当者が進める体制のことです。
インハウスSEOと呼ばれることもありますが、指している体制は同じです。
SEOはキーワードを決めるところから公開後の修正まで工程が分かれていて、外注と内製化ではその工程を動かす人が入れ替わります。
工程ごとに、外注と内製化で誰が動かすのかを以下にまとめました。

工程外注内製化
キーワード選定依頼先の提案をもとに決定自社で決定
記事の構成依頼先が作成自社で作成
執筆依頼先のライターが執筆自社の担当者が執筆
編集・検品依頼先が確認して納品自社で確認して公開
公開後の修正依頼先へ追加で依頼自社で修正して公開

工程の中身は外注でも内製化でも変わらないため、違いは誰が手を動かすかに絞られます。

一部の工程だけを社内に置く形も選べる

内製化は、全部の工程を社内に移す形だけではありません。
工程ごとに、社内で動かすか外注に出すかを分けられます。
社内に置く範囲で分けたのが、次の3つの形です。

形態社内に置く範囲
全工程の内製化キーワード選定から公開後の修正まで
決める工程だけの内製化キーワード選定と記事の構成
確認する工程だけの内製化編集と検品

どこまでを社内に置くかで、内製化と呼ぶ範囲は変わってきます。
自社で動かせそうな範囲が見えたら、内製化で何が変わるのかを確かめていきましょう。

SEO内製化の3つの形で社内に置く工程を示す表の図。全工程の内製化はキーワード選定から公開後の修正まですべて、決める工程だけの内製化はキーワード選定と記事の構成、確認する工程だけの内製化は編集と検品を社内に置く

SEO内製化のメリット

ここまでは外注との違いと、社内に置く範囲の選び方を見てきました。
工程を社内に置くと何が変わるのか、SEO内製化のメリットを4つにまとめました。

SEO内製化のメリット4つ

  • 外注費をそのまま削減できる
  • 記事の差し替えが当日中に終わる
  • SEOの知識が社内に残る
  • 記事の本数を増やしても費用が比例して増えない

1つずつ解説していきます。

外注費をそのまま削減できる

外注に払っていた費用は、記事制作を社内に戻したぶんだけそのまま減らせます。
記事の外注費は1本ごとに発生する支払いなので、社内で作った本数のぶんだけ支払いがなくなります。
例えば私(佐藤)の場合は、外に出していた記事制作を社内で回すようになりました。

私の場合

2024年は外注ライター10名に月20〜30万円を払い、記事を月に約30本作っていました。
2026年は外注ライターがゼロになり、記事制作での支払いがなくなっています。

当時の費用の内訳を以下にまとめました。

項目費用の目安
記事1本あたりの外注費1万円程度
月30本を外注した場合20〜30万円
社内で作った場合の外注費ゼロ

※1本あたり1万円程度は、私が外注していたころの実額です。
※依頼する範囲によって上下します。
自社が外に出している記事の本数に1本あたりの費用を掛けると、内製化で減らせる金額を計算できます。

記事の差し替えが当日中に終わる

公開した記事をその日のうちに直せるのも、社内で作るメリットです。
原稿を社内でもっているので、気づいた担当者がその場で手を入れられます。
外注していると、修正を依頼してから記事が戻ってくるまでに数日かかることもあります。
社内で対応した場合の目安を以下にまとめました。

起きたこと対応までの時間
誤字や表記ゆれの指摘数分
サービスの価格改定当日中
順位が下がった記事への追記当日〜翌日
古くなった数値の差し替え当日中

価格やキャンペーンの表記が変わりやすい会社ほど、当日中に差し替えられる速さが効いてきます。

記事を直すまでの時間の比較図。外注は修正を依頼してから記事が戻るまで数日かかり、社内なら直すと気づいた当日中にその場で直せる

SEOの知識が社内に残る

記事を社内で作ると、キーワードの選び方や記事の直し方が担当者の経験として残ります。
どの検索意図を狙って構成を決めたのかを、判断した人がそのまま社内にもっているからです。

社内に残るもの

検索キーワードから読者の状態を読み取る手順は、サービスページやメールの文面にも転用できます。
公開した記事の順位を追いかけて直した経験も、次の記事の構成にそのまま活きるでしょう。

記事を出すたびに社内の判断が積み上がり、次の1本の質を自分たちで上げられます。

記事の本数を増やしても費用が比例して増えない

記事の本数を2倍にしても、内製化なら費用は2倍になりません。
社内で記事を作るときは、AIツールを月額で契約して使うのが一般的です。
外注費は1本ごとに発生する一方、AIツールの月額は作る本数が変わっても同じ金額です。
例えば1本1万円で外注した場合と、社内で作った場合を以下にまとめました。

月間本数外注の費用内製化の費用
月5本5万円程度ツールの月額のみ
月15本15万円程度5本のときと同額
月30本30万円程度5本のときと同額

※外注の費用は、私が外注していたころの1本1万円程度で計算しています。
※ツールの月額は本数で変わりませんが、社内で編集・検品にかける時間は本数に応じて長くなります。

月の本数と費用の棒グラフ。外注は月5本で5万円程度、月15本で15万円程度、月30本で30万円程度と本数に比例して増え、内製化は本数が変わっても同額のまま

月に作る本数が多い会社ほど、外注との費用の差は開いていくでしょう。
本数を増やす計画がある会社ほど、内製化で減らせる費用は多くなります。
費用と速さのメリットを受け取れるのは、社内で回す体制を作ったあとです。

SEO内製化のデメリット

ここまではSEO内製化のメリットを見てきましたが、社内に工程を移すと新しい負担も出てきます。

SEO内製化のデメリット

  • 社内にSEOの知識がないと成果まで遠回りになる
  • 検索アルゴリズムの変化を自分で追う必要がある
  • 立ち上げには外注にない手間がかかる
  • AIの操作を覚える時間が最初に必要になる
  • 担当者が辞めると記事制作が止まる

1つずつ解説していきます。

社内にSEOの知識がないと成果まで遠回りになる

社内にSEOの知識がないまま記事制作を引き取ると、成果が出るまでの期間が延びやすいです。
外注していたころは、キーワードの選び方も記事の構成も依頼先が判断していました。

遠回りになる例

検索する人がほとんどいないキーワードで記事を10本書いても、公開後の順位はほとんど動きません。
SEOは公開してすぐに答え合わせができないため、選び方がずれていたとわかるのも数ヶ月後になります。

最初から社内にSEOへ詳しい人がいる会社のほうが少ないです。
知識が社内に育つまでのあいだは、外注していたころより成果が出るまでの期間が長くなります。

検索アルゴリズムの変化を自分で追う必要がある

社内で追い続けるのが、Googleの検索アルゴリズムの変化です。
外注していたころは依頼先が把握していた更新情報を、内製化したあとは自社で拾う仕事になります。
自分たちで見ておく情報は以下のとおりです。

自社で追う情報

  • Googleが出す検索の仕組みの更新
  • Googleが公開する評価の基準の改定
  • スパムに関するポリシーの更新
  • 検索結果に出るAIの回答の変化

検索の仕組みが変わると、公開済みの記事を見直す作業も社内で発生します。
毎月のように情報を追う時間が要るのは、内製化に切り替えたあとも続く負担です。

立ち上げには外注にない手間がかかる

内製化の立ち上げでは、外注では発生しなかった作業がまとまって出てきます。
記事の型も公開までの手順も、外注していたころは依頼先の側で決まっていました。
立ち上げの時期にやることと、かかる手間を以下にまとめました。

立ち上げでやることかかる手間
記事にするキーワードの洗い出し検索数と競合の記事を1語ずつ確認
記事の型と表記ルールの決定見出しの粒度と文体の統一を明文化
一次情報の集約社内の担当者に聞いて回る時間
公開までの手順づくり誰が確認して誰が公開するかの取り決め
順位の確認方法の用意計測ツールの契約と初期設定

手間が集中するのは立ち上げの時期で、公開が回り始めてからは落ち着きます。
ただし1本目を公開するまでの準備は社内の仕事として増えるので、外注していたときと同じ感覚では進みません。

SEO内製化の社内の手間の変化を示す図。立ち上げの時期に手間が集中し、公開が回り始めると落ち着く

AIの操作を覚える時間が最初に必要になる

最初に時間を取られるのが、AIの操作と設定を覚える段階です。
いまの内製化は、AIで記事を作る前提で語られるケースが多いです。
私(佐藤)が相談を受けてきた範囲でも、反論はほぼ2つに絞られます。

現場で出る声

「AIの操作方法がわからない」「AIの設定方法がわからない」の2つが返ってきます。
自社にノウハウがないからと、着手する前で止まったままの会社は多いです。

既製の記事作成AIツールを導入する場合も、使い方を覚える時間はかかります。
書き方の癖を調整しにくかったり、自社の情報を入れにくかったりするツールもあり、自社メディアに合わずやめてしまうケースも見てきました。
社内で覚えることと、最初につまずくところを以下にまとめました。

覚えること最初につまずくところ
AIツールの初期設定アカウントと支払いの用意
記事を書かせる指示文の書き方何をどこまで書けば返ってくるかの見当
自社の情報の渡し方手元の資料をどの形でAIに読ませるか
AIが書いた記事の直し方どこを人が確認するかの線引き

操作でつまずくのは特別なことではなく、内製化を考えている会社の多くで起きています。
覚える時間がそのまま立ち上げの遅れになるのは、内製化に固有の負担でしょう。

担当者が辞めると記事制作が止まる

記事を作れる担当者が1人だけの会社では、その人の退職がそのまま更新の停止につながります。
キーワードの決め方も記事の直し方も、担当者の頭の中に残ったまま社内で共有されないためです。

引き継げないもの

あるキーワードを外した理由や、2本の記事を1本にまとめた経緯は、書き残されにくい部分です。
後任が同じ判断をたどれず、公開のペースが戻るまで時間がかかるでしょう。

外注していたころは依頼先の体制で続いていた更新が、社内では担当者の在籍しだいになります。
ここまでは内製化に切り替えると必ず付いてくる負担で、次に見ていくのは進め方しだいで避けられる失敗です。

SEO内製化が失敗する5つの原因

ここまではSEO内製化のデメリットを見てきましたが、デメリットを踏まえて始めた会社でも、途中で更新が止まるケースがあります。
止まり方には共通した型があり、特定の会社に限った話ではありません。
ここからは、私(佐藤)がSEOメディアの運用代行と内製化の相談を受けてきたなかで見てきた5つの原因を解説します。

SEO内製化が失敗する原因

  • 記事の更新が続かなくなり止まる
  • 通常業務のある社員に記事作成が丸投げされる
  • キーワードを決めずに書きたいことを書いている
  • 似たテーマの記事が増えて検索結果で共倒れする
  • 社員がAIで量産した薄い記事がドメインを弱くする

1つずつ解説していきます。

①記事の更新が続かなくなり止まる

SEO内製化でいちばん多い失敗は、記事の更新が続かなくなって止まる状態です。
メディアは公開してからも記事を足し続ける前提で作るため、更新が止まると記事数がそこで固定されます。

止まり方

記事作成そのものが社員にとって重い負担になり、公開のペースが保てなくなります。
数本を出したところで間隔が空きはじめ、そのまま最後の更新日が止まってしまうでしょう。

更新が止まったメディアでは、公開済みの記事の順位が下がっても手が入りません。
担当者の意欲が落ちたからではなく、記事を作り続ける前提が社内で整っていないために起こります。

②通常業務のある社員に記事作成が丸投げされる

更新が止まる原因としてよくあるのが、通常の業務をもつ社員への記事作成の丸投げです。
専任の担当をおけない会社では、記事作成が既存の業務に上乗せされた状態で始まります。
記事作成が渡される場面と、起きることを以下にまとめました。

丸投げされる場面起きること
通常の業務と兼務のまま担当に指名締め切りのない記事から後回し
手が空いている社員へその都度依頼書く人が毎回変わり品質が不揃い
かける時間の配分を決めないまま着手繁忙期に記事作成だけが停止
記事の作り方を渡さずに執筆を依頼1本にかかる時間が読めず負担が増加

記事作成が止まるのは、任された社員の姿勢ではなく、業務として時間が確保されていないためです。
担当を決めただけで時間も手順も渡していないと、記事作成は通常の業務に押し出されます。

③キーワードを決めずに書きたいことを書いている

SEOの基礎知識がないまま書き始めると、キーワードを決めずに書きたいことをそのまま記事にしてしまいます。
記事のテーマを検索される語から決める工程は、社内ではまだ習慣になっていません。
書きたいこと起点で作られた記事と、検索で起きることを以下にまとめました。

書きたいこと起点の記事検索で起きること
新商品の発売を伝えるお知らせ商品名で検索する人だけが対象
社内イベントの様子の報告検索する人がほぼいない
業界用語をそのまま並べた解説一般の検索語と一致しない
経営者の考えをまとめたコラム検索の入口になる語がない

記事の本数は増えていても、検索から人が入ってこない状態が続くでしょう。
検索する人に届かない記事が増えるほど、社内で記事を作る手間だけが積み上がります。

④似たテーマの記事が増えて検索結果で共倒れする

記事の本数が増えたメディアで目立つのは、似たテーマの記事どうしのカニバリゼーションです。
カニバリゼーションとは、同じキーワードを狙った記事が社内で競合し、どちらの順位も上がらない状態のことです。
重複しやすいテーマと、検索結果で起きることを以下にまとめました。

重複しやすいテーマ例起きること
費用相場と料金の目安同じ検索語で2本が競合
選び方とおすすめの比較検索結果に出る記事が安定しない
メリットとデメリット評価が2本に分散
導入手順と始め方順位が入れ替わり続ける

記事の一覧を作らずに書き足していくと、公開済みの記事と重なっているのに気づけません。
本数を増やしたのに順位が上がらないメディアでは、記事どうしの共倒れが起きています。

似たテーマの記事どうしの共倒れを示す図。費用相場と料金の目安のように同じキーワードを2本で狙うと評価が2本に分かれてどちらも上がりにくく、1本にまとめると評価が1本に集まる

⑤社員がAIで量産した薄い記事がドメインを弱くする

社員がAIで作った薄い記事を公開し続けると、メディアのドメインパワーが下がる可能性があります。
価値を足さないまま大量にページを作る進め方を、Googleがスパムに関するポリシー違反として扱っているためです。
具体例には「生成AIツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること」が挙げられています。
参考:Google|Google 検索のスパムに関するポリシー

今のほうが危険

SEOやメディア運営の基礎知識がないまま本数だけが増えるため、AIが普及した今のほうが危険な状態です。
社員がAIを叩けば記事は出せてしまうので、公開の前で止める人が社内にいません。

一方でGoogleは、AI生成のものを含め、自動化を利用したコンテンツすべてがスパムであるとは限らないとも伝えています。
参考:Google|AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス
問題になるのは検索順位の操作を主な目的とした量産であって、AIを使うこと自体ではありません。
価値を足さないまま本数だけを増やす進め方が、内製化したメディアの評価を下げていきます。

SEO内製化に向いている会社の判断の目安

ここまで見てきた5つの原因は、どの会社でも同じように起きるわけではありません。
自社がインハウスSEOに向いているかの目安は以下のとおりです。

SEO内製化の判断の目安

  • 記事に使える一次情報が社内にある会社は向く
  • 記事の修正指示を出せる人がいる会社は向く
  • メディアを長く続ける方針の会社は向く
  • 半年以内に成果が要る会社は外注と併用する

1つずつ解説していきます。

記事に使える一次情報が社内にある会社は向く

記事に使える一次情報が社内にある会社は、SEOの内製化に向いています。
冒頭で触れたとおり、実績のないメディアが検索で競合に勝つ材料は自社にしかない情報だけです。

運用代行の現場で

私(佐藤)がSEOメディアの運用代行で苦労するのは、企業からの一次情報の聞き出しです。
社員や社長の頭の中だけにしかない一次情報が、想像以上に多くあります。

あらためて作らなくても、すでに社内に残っている一次情報を以下にまとめました。

一次情報の種類社内のどこにあるか
導入事例営業部門の提案資料・受注後の報告
お客様の声・アンケート問い合わせ窓口・アンケートの回収データ
社員インタビューのデータ採用サイト・社内報の原稿
社長が受けた取材記事掲載媒体の記事・広報の保管データ
社内のSNS・noteでの発信各アカウントの投稿履歴

表にあるような一次情報が1つでも社内に残っている会社は、他社に書けない記事を自社で作れるため、内製化に向いています。

記事の修正指示を出せる人がいる会社は向く

記事に修正指示を出せる人が社内にいるのも、内製化に向いている会社の条件です。
AIに書かせても人に書かせても、編集する側のタスクは変わりません。
例えば私の場合は、AIへ出していた編集の指示が、外注をやめる決め手になりました。

外注をやめた理由

ライターにも「ここはこうしてください」と指示書を作って渡していました。
渡す相手がAIに変わっても、指示書を書く手間は変わりませんでした。

編集の作業が変わらないのであれば、残る差は修正の速さとコストだけになります。
外注していたころは、指摘した箇所が直るまでに数日かかっていましたが、AIならすぐに直せます。
原稿を読んで直せる人が社内に1人でもいれば、書き手をAIに替えても記事の質を保てるでしょう。

メディアを長く続ける方針の会社は向く

メディアを長く続ける方針の会社も、SEOの内製化に向いています。
記事を作る手順とSEOの知識が社内に残り、月2本のペースでも1年で24回分のキーワード選定と編集の経験が積み上がるためです。
数ヶ月のキャンペーンに合わせて記事を出したいだけであれば、立ち上げにかかる手間のほうが上回りやすいです。
何年もメディアを続ける方針が決まっている会社ほど、キーワード選定と編集の経験が積み上がり、次の記事の判断が速くなります。

半年以内に成果が要る会社は外注と併用する

記事を外注と組み合わせて進めたほうがよいのは、半年以内に成果が要る会社です。
新しく立ち上げたメディアでは、記事を公開してから検索順位が付くまでに時間がかかります。
例えば私が運用してきたメディアでは、順位が付くまでの目安は以下のとおりです。

メディアの状態順位が付くまでの目安
ドメインパワーが強く運営実績のあるメディア1ヶ月かからずトップ10に入る例もある
新しく立ち上げたメディア早くて3ヶ月・長くて6ヶ月

目安はメディアの状態によって変わり、競合の強いキーワードでは順位が付きにくいです。
半年以内に成果が要る会社は、順位を急ぐ記事だけを外注に出しながら、社内では工程を1つずつ増やしていく形が合っています。

SEO内製化で工程ごとの担当を決める方法

ここまではSEO内製化に向いている会社の条件を見てきましたが、内製化を決めたあとに必要になるのが工程ごとの担当決めです。
内製化といっても、記事に関わる作業をすべて社内でやる形にはなりません。
社内に置くものとAIに任せるものを分け、社内で回らない工程は外部の会社に頼むと、人を増やさないまま記事の制作を回せます。
工程ごとの担当と、そう決める理由を以下にまとめました。

工程担当そう決める理由
キーワード選定社内顧客から聞かれる質問を知っている
記事の構成・執筆AI材料を渡せば手順の決まった作業
編集と検品社内事実の確認と一次情報の調整が要る
効果測定社内次に書く記事の判断につながる
サイトの改修外部の会社Webサイトを作る技術が要る
被リンクの獲得外部の会社社外の会社やメディアの判断で決まる

SEOの工程ごとの担当の図。キーワード選定・編集と検品・効果測定は社内、構成・執筆はAI、サイトの改修と被リンクの獲得は外部の会社が担当する

1つずつ解説していきます。

キーワード選定は社内に置く

キーワード選定は、社内に置いたまま進める工程です。
問い合わせにつながるキーワードを知っているのは、顧客と直接話している社内の人です。
社内で決める項目を以下にまとめました。

決めること社内で決める理由
記事にするキーワード顧客から実際に聞かれる質問がわかる
記事を作る順番売りたいサービスの優先順位が決まっている
想定する読者既存客の業種と規模のデータがある
記事にしないキーワード受けられない依頼の範囲を把握している

例えば、検索数が多いキーワードでも、自社が受けられない依頼の記事は問い合わせにつながりません。
自社の商売がわかっていないと決められない判断が集まるため、キーワード選定は社内の担当として残しておきましょう。

記事の構成・執筆はAIに任せる

AIに任せられるのが、記事の構成と執筆です。
渡す材料がそろえば、構成と執筆は手順の決まった作業になります。
工程ごとにAIへ渡すものを以下にまとめました。

工程AIに渡すもの
検索結果の下調べ記事のキーワードと上位記事の見出し
構成案の作成想定する読者と記事で答える質問
本文の執筆構成案と社内で集めた一次情報
タイトルの作成記事のキーワードと文字数の条件

社内で集めた一次情報まで渡すと、自社の事情が入った原稿が返ってきます。
構成と執筆をAIに任せると、社内に残るのは材料をそろえる工程と、出てきた原稿を確かめる工程だけになります。

編集と検品は社内に残す

編集と検品は、AIに任せずに社内へ残す工程です。
書かれた内容が自社の事実と合っているかを確かめられるのは、社内の人だけです。
社内で見る項目を以下にまとめました。

編集と検品で見る項目

  • 社内の数字と日付の確認
  • 一次情報の言い回しの調整
  • サービス名と料金の表記の統一
  • 誤字と記事どうしの重複の確認

私(佐藤)が記事制作をAIに任せていくなかで、人に残したのは一次情報を集めて言葉にする作業でした。
集めた一次情報が原稿に入っているかを社内で確かめる担当を決めておくと、AIが書いた原稿でも自社の記事として出せます。

効果測定は社内に置く

社内に置いておくと動きが早いのが、公開後の効果測定です。
次に書く記事のキーワードは、公開した記事の順位と問い合わせの数を見て決めます。
社内で毎月見る項目を以下にまとめました。

効果測定で見る項目

  • 記事ごとの検索順位と表示回数
  • 記事から届いた問い合わせの数
  • 直したあとの順位の変化

順位と表示回数は、Google Search Consoleで無料のまま確認できます。
数字を見て次のキーワードを決める担当を社内に置くと、記事の本数が増えても方向がぶれにくいです。

サイトの改修は外部の会社に任せる

サイトの改修は、外部の会社に任せます。
表示の速さやスマホでの見え方を直す作業には、Webサイトを作る技術が要ります。
外部の会社に任せる作業例は以下のとおりです。

外部の会社に任せる作業例

  • 表示速度の改善
  • スマホでの表示崩れの修正
  • 記事のURLの構造の整理
  • サーバーの移転と設定

例えば、記事を100本作っても表示に時間がかかるままでは、読者が本文を読む前に離れてしまう場合があります。
社内に技術の担当がいない会社ほど、サイトの改修は外部の会社に任せる前提で工程を分けておきましょう。

被リンクの獲得は外部の力を借りる

外部の力を借りる工程が、被リンクの獲得です。
他社のサイトから張られるリンクは、社外の会社やメディアに動いてもらうと増えていくためです。

順位を決めるもの

私がSEOに12年関わってきたなかで、検索順位をほとんど決めていたのはドメインパワーと良質な被リンクでした。
もう1つが、自社にしかない一次情報です。

自社の作業だけで増やせるのは一次情報で、被リンクが増えるかはリンクを張る側の判断で決まります。
例えば、業界のメディアへ調査の結果を提供したり、広報を支援する会社へ依頼したりする働きかけが要るでしょう。
被リンクのように社外へ頼む工程まで含めて担当を決めておくと、内製化にかかる費用も見積もりやすくなります。

SEO内製化にかかる費用

ここまでは工程ごとに社内・AI・外注のどこが担当するかを見てきましたが、社内に置いた工程には費用がかかります。
SEO内製化にかかる費用は以下のとおりです。

SEO内製化にかかる費用

  • 最初に要るツールは月20ドルと4,460円の2つ
  • システムを組む段階は月額100ドルが目安
  • 社内で担当する社員の人件費も費用に入る
  • 月に何本作るかで内製化の割安さが決まる

内製化する側の費用から順に解説していきます。

最初に要るツールは月20ドルと4,460円の2つ

記事の構成と執筆をAIに任せるなら、AIチャットとキーワードツールの2つを最初に契約しておきます。
キーワードを決めずに書き始めると記事が検索から外れるので、検索数を調べるツールも1本目から必要です。
例えばClaudeとAhrefsの組み合わせなら、月20ドルと4,460円で始められます。
内製化で使うツールと月額を以下にまとめました。

※Claudeはドル建て、Ahrefsは円建ての表示です。

ツール月額できること
ClaudeのProプラン月払い20ドル・年払い月17ドル記事の構成案と本文の作成
AhrefsのStarterプラン4,460円キーワードの検索数の確認
AhrefsのLiteプラン19,900円競合サイトの流入キーワードの調査

参考:Anthropic|Claude Plans & Pricing
参考:Ahrefs|料金プラン
ドル建てのプランは、円で支払う金額が為替によって上下します。
競合サイトの流入キーワードまで調べる段階になったら、Ahrefsは上位プランへの切り替えです。
ClaudeとAhrefsの2つを最初から契約しても、記事を1本外注するのと変わらない水準で始められます。

システムを組む段階は月額100ドルが目安

Claudeの月20ドルのプランは、チャットに毎回指示を打ちながら1本ずつ書いていく使い方になります。
自社の記事の作り方をClaude Codeに覚えさせ、記事作成システムとして動かす段階になると、月100ドルのプランが要ります。
ClaudeのMaxプランは使う量に応じて月100ドルと月200ドルの2種類があり、支払いは月額のみです。
参考:Anthropic|What is the Max plan?

Claude Codeとは

決めた手順どおりにAIが作業を進める、Anthropicのツールです。
デスクトップ版なら画面から日本語で指示を出せるため、エンジニアでなくても操作できます。

システムにすると、毎回チャットに指示を打つ必要がなく、決めた手順どおりにAIが最後まで書き進めてくれるでしょう。
人が確認する工程だけが残るので、1本あたりの時間が短くなり、同じ時間で作れる本数も増えます。
月額とは別に要るものは以下のとおりです。

月額とは別に要るもの

  • 自社の記事の作り方を書き出す時間
  • 手順をAIに覚えさせる設定の作業
  • メディア運営の知識をもつ担当者

ただし、記事作成システムを組む作業そのものには技術が要ります。
私(佐藤)も満足のいく形になるまで、作り直しを数えきれないほどくりかえしました。
社内で組むのが難しい場合は、例えば私のように記事作成システムを組むところから支援している相手に頼む方法もあります。
システムを組む段階では、月100ドルの月額に、手順を書き出して覚えさせる時間が加わります。

SEO内製化の段階ごとに契約するツールの図。始める段階はClaude Pro月20ドルとAhrefs Starter月4,460円、手順をAIに覚えさせてシステムを組む段階はClaude Max月100ドル

社内で担当する社員の人件費も費用に入る

内製化の費用には、AIツールの月額だけでなく、担当する社員の人件費も入ります。
社内に置いた工程は社員の時間を使って動くので、動いた時間ぶんの給与が費用として発生します。
例えば私の場合は、2万字の記事1本にかかる実動時間は以下のとおりです。

工程1本あたりの目安時間
記事1本の実動時間1時間以内
うち編集と検品30分〜1時間弱

※実動時間はAIの処理待ちを除いた人間の稼働時間で、手順を仕組みにしたあと2万字の記事で計った数字です。
人件費は、実動時間に社内の時間単価を掛けて計算します。
時間単価は、令和7年賃金構造基本統計調査の一般労働者の所定内給与額(男女計で月34万600円)を目安にするか、自社の給与に置き換えてください。
参考:厚生労働省|令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況 本文6ページ
編集と検品は社内に残る工程なので、手順を仕組みにしたあとも社員の時間はかかり続けます。
自社で計算するときは、担当する社員の時間単価に実動時間を掛けた金額を、AIツールの月額に足してください。

月に何本作るかで内製化の割安さが決まる

内製化が外注より割安になるかを決めるのは、1本あたりの実動時間と月に作る本数です。
外注費は1本ごとに発生するので、社内で1本にかけられる人件費の上限も外注1本ぶんに収まります。
例えば私が外注していたころの実額は、記事1本あたり1万円程度です。
作り方ごとに、1本あたりの人件費と外注との比較を以下にまとめました。

作り方1本あたりの実動時間1本あたりの人件費外注1本1万円との比
手書きで書く18〜20時間3.6万〜8万円3.6〜8倍
AIにプロンプトで書かせる約6時間1.2万〜2.4万円1.2〜2.4倍
手順を仕組みにする1時間以内2,000〜4,000円0.2〜0.4倍

※人件費は、社内の時間単価を2,000〜4,000円として計算した幅です。
※AIツールの月額は別途かかり、外注の1本1万円は依頼する範囲によって上下します。

記事1本あたりの人件費の棒グラフ。手書きは3.6万〜8万円、プロンプトは1.2万〜2.4万円で外注1本1万円を上回り、手順を仕組みにすると2,000〜4,000円で下回る

得か損かの線

手書きとプロンプトのままでは、社内で書くほうが外注より高くつきます。
外注より安くなるのは、手順を仕組みにして1本1時間以内に収めたときです。

AIツールの月額は作る本数が変わらないぶん、月に作る本数が多いほど1本あたりの負担は小さくなるでしょう。
月に何本作るかを決めて、1本あたりの実動時間と時間単価を掛けると、外注と内製化のどちらが安いかを社内で説明できます。
費用の見通しが立ったら、次はSEO内製化を始める4ステップです。

SEO内製化を始める4ステップ

ここまではSEO内製化にかかる費用を見てきました。
費用の目安が立ったら、次は社内で何から手を付けるかを決めます。
進める順番を飛ばすと、記事は出せても順位が付かないまま止まりやすいです。

SEO内製化を始める4ステップ

  • 社内にある一次情報を集める
  • 集めた一次情報をテーマごとに割り振る
  • 1本目を作って社内で読み合わせる
  • 公開して3ヶ月は順位を見て直す

各ステップでやることを、順番に解説していきます。

SEO内製化を始める4ステップの図。社内にある一次情報を集め、テーマごとに割り振り、1本目を作って読み合わせ、公開して3ヶ月は順位を見て直す

ステップ1|社内にある一次情報を集める

SEO内製化で最初に手を付けるのは、社内にある一次情報を集める作業です。
前述のとおり、新しいメディアで順位を分ける材料になるのは自社にしかない情報だけです。

集め方のコツ

「一次情報をまとめてください」と頼んで、そのまま出せる人はほとんどいません。
質問の形にして1つずつ聞いていくほうが、社内からは出てきます。

一次情報は次の4手順で集めていきます。

一次情報を集める手順

  1. AIに一次情報の質問リストを作ってもらう
  2. 社内で答えられる人が質問に答えていく
  3. スプレッドシートに質問と答えを並べる
  4. スプレッドシートをAIに読み込ませる

手順1でAIに送る文は、次のとおりです。

AIへの質問文

このメディアに必要な一次情報の質問リストを作ってください

返ってきた質問に社内で答えていくと、頭の中にあった一次情報がシートに残ります。
シートがそろえば、記事のテーマを割り振るステップ2に進めます。

一次情報を集める手順と担当の図。AIが質問リストを作り、社内で答えられる人が答え、スプレッドシートに並べ、そのシートをAIに読み込ませる

ステップ2|集めた一次情報をテーマごとに割り振る

シートに一次情報がそろったら、1件ずつ記事のテーマへ割り振っていきます。
一次情報を起点にテーマを決めると、他社には書けない切り口から記事を組めます。
前述のとおり、内製化では似たテーマの記事が増えて共倒れするケースが多いので、割り振りの段階で分けておきましょう。
割り振りの例を以下にまとめました。

一次情報の例記事のテーマ例
自社サービスの導入前後で変わった数字導入の効果を数字で伝える記事
顧客から多く届く問い合わせ質問に答える解説記事
社員が現場で使っている手順作業の進め方を解説する記事
社長が取材で話した創業の経緯事業の成り立ちを伝える記事
自社が依頼を断ったときの理由依頼先の選び方の記事

1つの一次情報を複数の記事で使っても構いません。
分けるのは一次情報ではなく、狙うキーワードのほうです。
同じキーワードを2本で狙うと共倒れするので、割り振り表ではキーワードが重ならないかを確かめます。
割り振り表ができたら、上から1本ずつ作っていきます。

ステップ3|1本目を作って社内で読み合わせる

割り振り表の1行目のテーマと集めた一次情報をAIに渡して1本目を書かせたら、公開する前に社内で読み合わせます。
最初の1本で直した箇所をルールにしておくと、2本目以降は同じ指摘が減ります。
AIに書かせた原稿でも、事実と社内の言い回しは人が確かめてから出しましょう。
読み合わせで確かめる項目は以下のとおりです。

読み合わせで確かめる項目

  • 自社にしかない数字や事例の有無
  • 数字・日付・社名の誤り
  • 社内で使う言い回しとのずれ
  • 読者が次に取れる行動の有無

読み合わせは、記事を作った人と公開を決める人がそろった場で進めます。
指摘は口頭で終わらせず、直した理由をシートに1行ずつ書き足してください。
1本目の読み合わせで基準がそろえば、2本目からは同じ流れで公開まで進められます。

ステップ4|公開して3ヶ月は順位を見て直す

記事を公開したら、そこから3ヶ月は順位を見ながら直していきます。
新しく立ち上げたドメインで順位が付くのは、前述のとおり早くて3ヶ月、長くて6ヶ月ほどが目安になるためです。
ドメインパワーが強く運営実績のあるメディアなら1ヶ月かからずトップ10に入る記事もあり、期間はメディアの状態しだいです。
3ヶ月のあいだに見る指標とやることを以下にまとめました。

時期見る指標やること
公開〜1ヶ月検索結果への登録Google Search Consoleでの登録の確認
1〜2ヶ月表示回数想定と違うキーワードの記録
2〜3ヶ月検索順位11〜30位の記事への書き足し
3ヶ月以降クリック率タイトルと見出しの見直し

直す対象は、公開したすべての記事ではありません。
表示はされているのに順位が付いていない記事に一次情報を足すと、順位が動く余地があります。
公開して3ヶ月見て直す流れが1本分できれば、あとは人を増やさずに本数を増やす段階に進めます。

人を増やさずにSEOを内製化する方法

ここまでは、社内で記事を作る4ステップを見てきました。
ただ、その手順を毎月回す時間が社内にない会社もあるでしょう。
記事を作る手順をAIに覚えさせておくと、担当を増やさないまま内製化を進められます。

人を増やさずに内製化する手順

  • 記事を作る手順を人の言葉で書き出す
  • 書き出した手順をAIに渡して仕組みにする
  • 品質のルールを決めて毎回同じ基準で出す
  • AIが書いた記事を直しながら仕組みを更新する

1つずつ解説していきます。

記事を作る手順を人の言葉で書き出す

最初にやるのは、記事を作る手順を人の言葉で書き出し、AIに読み込ませる資料にする作業です。
コードは要らず、日本語で工程とルールを書いておけば、AIがその資料をもとに記事作成の仕組みを組み立てます。
書き出す項目と書き方の例を以下にまとめました。

書き出す項目書き方の例
工程の並びキーワード選定・構成・執筆・編集・公開
各工程の作業構成は検索上位10本の見出しを見て作る
判断の基準検索の意図が違うキーワードは別記事にする
使う社内の情報導入した事例・お客様の声・社員インタビュー
次の工程に渡すもの構成に選んだキーワードと狙う読者を添える

例えば私(佐藤)の場合は、SEO記事を12年書いてきた手順をそのまま書き出しました。

書き出した手順

キーワード選定から公開まで、記事を作る工程は9つあります。
AIに合わせて手順を作り直したところはありません。

手順が文章になっていれば、担当を増やさなくても同じ記事を作り続けられます。

書き出した手順をAIに渡して仕組みにする

手順を書き出したら、資料として添付し、AIエージェントを組んでもらいます。
AIエージェントとは、決めた手順に沿って複数の作業を続けて進めるAIのことです。

最初のつまずき

私が最初に手持ちのプロンプトを渡したときは、返ってきたのもプロンプトでした。
AIの仕組みとして返ってきたのは、Claude Codeの機能の呼び名を指示に並べて頼んだときです。

実際に打った指示を、そのまま載せます。

AIエージェント化の指示文

以下に添付しているのは、◯◯◯◯の工程とそのルールに関する資料です。
◯◯◯◯するAIエージェントを構築してほしいです。
モジュール、スキル、フック、プラグイン、MCP連携、サブエージェント、RAG、その他最新のClaude Codeの機能でフィットするものがあれば、あと、何か効率的な組み合わせがあれば提案してほしいです。
〜やりたいことの工程とルールに関する資料をすべて添付〜

◯◯◯◯には、SEO記事作成のように自社で任せたい業務の名前を入れてください。
モジュールやサブエージェントといった機能の呼び名を並べ、フィットするものを選んで組み合わせを提案してほしいと頼んだので、AIの仕組みとして返ってきました。
工程とルールを書いた資料さえあれば、人を増やさずに記事を作る体制を組めます。

品質のルールを決めて毎回同じ基準で出す

記事の品質は、人が毎回直すのではなくルールとしてAIの仕組みに覚えさせます。
出てきた原稿に毎回手を入れていると、担当者の作業時間だけが増えていくでしょう。

足すのは時間ではない

品質が物足りないときに編集の時間を増やすと、AIを入れた意味が薄くなります。
代わりに用意するのが、上手な文章の定義と執筆のルールです。

ルールを覚えたAIの仕組みは、何本作っても同じ基準で記事を出してくれます。
決めるルールと例を以下にまとめました。

決めるルール例
文章の型結論・理由・具体例・まとめの順
一文の長さ80字を超えたら2文に分ける
数値の扱い出典を確認できた数値だけ使う
書かない表現煽り文句・根拠のない断定
公開してよい基準決めた点数に届くまで書き直す

例えば私の場合は、同じ文末を3回続けないルールが、プロンプトだけでは守られないときがありました。
エージェントの側でプログラムとして制御してからは、100%防げています。
ルールをAIの仕組みの側に置いておくと、担当者の経験に関係なく同じ基準の記事が出てきます。

ルールを置く場所の違いを示す図。同じ文末を3回続けないというルールは、プロンプトで頼むだけでは守られないことがあり、プログラムで制御すると100%防げる

AIが書いた記事を直しながら仕組みを更新する

AIの仕組みのルールにも足しておきたいのが、記事を直した理由です。
同じ直しを次の記事から減らせるためです。
記事だけを直して終わらせると、毎回同じ箇所に人の手が要ります。
手を入れる量は、更新を重ねるほど減っていくでしょう。

人が残る作業

記事を作る工程は、ほとんどAIに任せられます。
一方で、一次情報を集める・まとめる・言葉にする3つだけは人の作業として残ります。

一次情報を出せる社員は、AIの仕組みを動かし始める前に決めておいてください。
直した理由をルールに足し続けると、人を増やさないまま記事の本数と質を上げていけます。

AIの仕組みを更新するくり返しの図。AIが書き、人が直し、直した理由をルールに足してから、次の記事をAIが書く

SEO記事の制作を社内に戻した実例

ここからは、実際に記事制作を社内へ戻した例を紹介します。
私(佐藤)は前章までの手順でAIに記事作成のシステムを組み、外注をやめてメディア運営を社内に戻しました。
外注をやめて社内で回せるのかは、記事制作を外に出している会社であれば判断に迷うところでしょう。
以降は、外注ライター10名と記事を作っていたころからの経験をもとに解説します。

記事制作を社内に戻した実例

  • 外注ライター10名をゼロにして記事数は増えた
  • 記事1本の実動時間が20分の1になった

うまくいかなかった過程も含めて、1つずつ解説していきます。

外注ライター10名をゼロにして記事数は増えた

外注ライターは10名からゼロになり、月間で作成する記事数はむしろ増えました。
外注をやめるまでには、指示の渡し方を何度も変えた時期があります。

10名体制のころ
ライターへの修正指示をテキストで書くと、その文字数で自分が本文を直せてしまいました。
動画で伝える方法に変えると、今度はライターが動画を見る時間を取られました。
マニュアルを配っても、業務委託のライターだと、細かく読んでくれる人は少なかったです。

自分で直した方が早いのですが、それをやってしまうと直した理由がライターに伝わらず、何度も同じミスがくりかえされました。
ライターの力量ではなく、指示が積み上がらない業務委託の進め方から起きていた課題です。
人を増やす方向はやめて、記事を作る手順をAIプロンプトに移し、いまはAIに手順どおり進めてもらっています。
外注ライターの人数と費用の推移は以下のとおりです。

年外注ライター月間の外注費月間の記事数
2024年10名20〜30万円約30本
2025年4名20万円程度約30本
2026年ゼロゼロ円45本

※人数は外注ライターのみで、編集を担当する私は含みません。

月間の外注費の棒グラフ。2024年は20〜30万円、2025年は20万円程度、2026年はゼロ円になった

記事数を増やせたのはライターを減らしたからではなく、修正の理由をAI側のルールとして残せるようになったためです。

記事1本の実動時間が20分の1になった

20分の1に短くなったのが、記事1本にかかる人の作業時間です。
とくに重かったのは、書き終えたあとの編集と検品の工程です。
本数を増やすには人を増やすしかない状態から、記事を作る手順をAIに渡す方向へ切り替えています。
同じ記事1本にかかる実動時間の推移は以下のとおりです。

段階手法実動時間うち編集・検品
①手書き全部自分で書く18〜20時間3〜4時間
②プロンプトAIにプロンプトを登録して書かせる約6時間1〜3時間
③AIの仕組み決めた手順どおりにAIが進める1時間以内(短いと30分)30分〜1時間弱

※実動時間は、AIの処理待ちを除いた人の稼働時間です。

記事1本の実動時間の棒グラフ。手書きで18〜20時間、プロンプトで約6時間、AIの仕組みなら1時間以内

※2万字の長尺記事で測っています。
人が読む工程だけが社内に残り、書く作業そのものは人の手から離れました。
1本あたりの時間がここまで下がったので、外に出していた本数をそのまま社内で回せるようになりました。
ここまでは私の例です。
自社に当てはめるときは、いま外注へ払っている費用と、記事1本にかけている時間の両方を書き出すところから始めてみてください。

SEO内製化に関するよくある質問

最後に、SEO内製化についてよくある質問をまとめました。
1つずつ答えていきます。

Q.SEO内製化はどれくらいで成果が出ますか?

新しく立ち上げたメディアであれば、早くて3ヶ月・長くて6ヶ月が目安です。
順位が付くまでの期間は、メディアの運営実績とドメインパワーで決まります。
状態ごとの目安を以下にまとめました。

メディアの状態目安の期間
運営実績があり、ドメインパワーが強いメディア1ヶ月かからずトップ10に入る例もあり
立ち上げたばかりで、ドメインパワーがゼロのメディア早くて3ヶ月・長くて6ヶ月

競合の強いキーワードを狙った記事では、目安の期間よりも順位が付きにくくなります。
自社のメディアがどちらの状態にあるかを確かめてから、内製化の計画を立ててみてください。

Q.SEO内製化の支援会社はどう選べばよいですか?

確認したいのは、契約が終わったあとに社内へ何が残るかです。
内製化のゴールは、社外の力を借りずに記事を出し続けられる状態にあるためです。
問い合わせの段階で確認しておきたい内容の例を以下にまとめました。

支援会社に確認する内容の例

  • 依頼できる工程の範囲
  • 運用を社内へ引き継ぐまでの流れ
  • 手順書やマニュアルの引き渡し
  • 社内の担当者への教え方

打ち合わせで4つとも聞いておくと、複数の会社を同じ基準で比べられます。
手順が社内に残る会社であれば、支援が終わったあとも自社で記事を作り続けられます。

Q.SEOの担当者は何人必要ですか?

工程を社内・AI・外部の会社に割り振れば、専任1人でも回せます。
社内に残るのはキーワードの選定と編集・検品と効果測定で、記事を書く工程は社内に置かなくても進みます。
体制ごとの担当を以下にまとめました。

体制担当する工程人数の目安
社内キーワードの選定・編集と検品・効果測定1人から
AI構成の作成・執筆0人
外部の会社サイトの改修・被リンクの獲得依頼するときだけ

人を増やす判断が要るのは、記事の本数が増えて編集と検品が終わらなくなってきたときです。
新しく採用しなくても、いまいる社員から担当を1人決めるところから内製化は始まります。

Q.検索順位を計測するツールは要りますか?

最初は、Googleが無料で出しているGoogle Search Consoleだけで足ります。
Google Search Consoleとは、自社のサイトが検索でどう見られているかを確認できるツールのことです。

Search Consoleでわかること

  • 記事がどのキーワードで表示されたか
  • 表示された回数と検索結果での掲載順位
  • 検索結果からクリックされた回数

使い始めるには、自社サイトの所有者であることをGoogleに登録する作業が要ります。
内製化を始めた直後は記事の本数が少なく手作業で追えるので、有料の計測ツールは記事が増えてきてから検討しても遅くないでしょう。
無料の範囲でも公開と修正はくりかえせるので、ツールの契約を待たずに内製化を進められます。

Q.内製化したあとに外注へ戻すことはできますか?

内製化したあとでも、記事の制作を外注に戻せます。
工程ごとに担当を決めておけば、外に出す範囲だけを入れ替えられるためです。
例えば、社内の担当者が異動した月だけ執筆を外注に出し、書き出した手順をそのまま指示書として渡す形も取れます。
内製化は外注をやめる決断ではなく、社内に置く工程を自社で選び直せる状態にする取り組みです。

まとめ|SEO内製化は社内の一次情報を集めることから始まる

SEO内製化は、記事を書く人を社内に採用することから始まる取り組みではありません。
記事を作る工程は社内とAIと外部の会社に分けられ、社内に残る3工程は担当者1人からでも回せます。
始め方を以下にまとめました。

内製化を始める順番

  • 社内にある一次情報を集める
  • 集めた一次情報をテーマごとに割り振る
  • 1本目を作って社内で読み合わせる
  • 公開して3ヶ月は順位を見て直す

費用で迷ったら、1本あたりの実動時間に社内の時間単価を掛けて、外注1本ぶんと比べてみてください。
手書きのまま社内で書くと外注より高くつき、手順を仕組みにして1本1時間以内に収めれば内製化が得になります。
社員がAIで薄い記事を量産すると、Googleが明示しているとおりメディアの評価はむしろ下がるので、本数を増やす前に中身を確かめてみてください。
まずは社員や社長の頭の中にある一次情報を、質問リストの形でシートに書き出すところから始めてみてください。

ここまで読んで、記事を書く担当をどう確保するかで止まっているなら、そこは人ではなく手順で埋められます。
私(佐藤)が外注ライターをゼロにできたのも、毎回渡していた指示を書き出してAIの側へ移したからでした。
この記事も、そうして組んだ記事作成AIエージェントが下書きまで作っています。

公開している中身

  • 記事の工程をどこまでAIに任せているか
  • 毎回の指示をどうルールに変えたか
  • どの工程で人が確認しているか
  • 出てきた原稿をどう採点しているか

どんなルールをAIに覚えさせているかは、この記事の作り方としてそのまま公開しています。

この記事を書いたAIの仕組みを見る

この仕組みを自社の記事制作に当てはめられるかは、いまの工程を書き出すと見えてくるでしょう。


記事一覧へ戻る